キャスト・スタッフ

原作・脚本・証言:新藤兼人

原作・脚本:新藤兼人

1912年 広島県生まれ。1934年 新興キネマ美術部に入る。溝口健二に師事。1944年 松竹大船撮影所に移籍、 吉村公三郎監督と組んだ「安城家の舞踏会」(44)、「わが生涯の輝ける日」(48)等が賞賛される。

1950年 松竹を退社、独立プロダクション・近代映画協会を吉村公三郎、絲屋寿雄らと設立。1951年 「愛妻物語」で監督となる。 同年「待ちぼうけの女」(46:マキノ正博監督)、「偽れる正装」(51:吉村公三郎監督)で脚本家として揺るぎない地位を確立。

1960年 「裸の島」でモスクワ国際映画祭グランプリ受賞。一躍、国際舞台に進出する。以降、その独創的な姿勢は「鬼婆」(64 )、 「本能」(66)といった実験精神あふれる作品をつくり出し、また「ある映画監督の生涯/溝口健二の記録」(75)は記録映画の傑作として絶賛された。

1995年 「午後の遺言状」は日本アカデミー賞最優秀監督賞をはじめあらゆる賞を独占。社会現象までを喚起。 執筆家としても多くの著作を発表、1997 度文化功労者として顕彰をうける。2002年 文化勲章受賞。

最近作「生きたい」(99モスクワ国際映画祭グランプリ)、「三文役者」(2000)、「ふくろう」(2003)。 2003年 第25回モスクワ国際映画祭では、長年の映画祭への貢献ということで、特別賞を受賞。94歳を過ぎてなお映画への情熱を燃やし続けている。

  • 原爆の子
  • 裸の島
  • 午後の遺言状

監督:山本保博 (第一回監督作品)

監督:山本保博

1959年生まれ。松竹シナリオ研究所基礎科卒。松竹テレビ部にて助監督見習い開始。 以降フリーとしてテレビ、映画の助監督を経て近代映画協会を中心にテレビ、ビデオの演出を手がける。  今回が映画監督第一作となる。

「午後の遺言状」「生きたい」「ふくろう」(以上 新藤兼人監督作品)「大阪物語」「ウィニングパス」など助監督。 「禅のいぶき」(毎日産業映画祭企業PR部門受賞)監督。シナリオ「ヤマの記憶」第4回日本シナリオ大賞佳作(2001)

おかしくて、哀しくて、厳しい戦争の映画に

新藤さんが、以前書いていた「陸に上った軍艦」というシナリオを読んだ。そこには、ほんとうかと驚くような事実が書かれていた。 今まで誰も書いたことがないような新藤二等水兵の見たユニークな記録である。

数年前、テレビのドキュメンタリー番組で、新藤さんをインタビューした時のこと。 戦争中、土のこぼれ落ちる粗末な防空壕で、ただひたすらB29の空襲を耐えた時のことを、新藤さんはこう語った。 「しゅるしゅるという爆弾の空気を引き裂く音が拡大し、嗚呼、終わりかと思う瞬間、何を拠りどころとし、何にしがみついたらいいのかと思った。 天皇陛下万歳もふさわしくなかった、お母さんと叫ぶのも作り事に思われた。・・・結局、あーっと息をつめるより他なかった。」 僕もその場にいたら何も考えられないだろう。今の自分が、戦争の時代を生きることになったら、どう感じるだろうか? これまで読んだり、聞いたりした戦争体験にはない、今に通じるものを感じた。これを遺したいと思った。

シナリオにそって、新藤さんの証言を聞き取り始めた。60年以上前の事だが、新藤さんの記憶は鮮明だった。 世代が違う私が、もう一度、新藤さんの体験を聞き直し、再構成することに意味があると思った。 この映画を、もっと若い世代が見れば、抽象的な論でなく、戦争の実際を肌で感じることになるのではないかと思う。

シナリオの構成には入っていなかった話を聞くことが出来た。

あるひとりの兵が、前線に出発する前、妻からきた葉書を新藤さんに見せてくれた。 今でも忘れることが出来ないと、新藤さんは言う。「今日はお祭りですが、あなたがいらっしゃらないでは、何の風情もありません」と書かれていた。

「その人は、奥さんにとっては、もう最大の人なんですね。どんな偉い人よりも、どんな権力のある人よりも、 うちの亭主が大事。そういう大事な人を待っている。しかし、その人は、マニラへ行って死んでしまったというような現実がある。」

「残った妻の人生も破壊されるし、もう何もかも破壊されるような大きなことがその個人には、 起きているんだけれども、つまり大局から見れば、何か戦略的にひとりの兵が死んだということなんですね。 戦争とは、要するにそういうものなんだ。」

シナリオの中に、妻に会いたくて会いたくて、どうしようもない兵が出てくる。 妻への愛が、軍隊生活を貫いている。戦争のなかで、変わらない人間の姿がある。 新藤さんとともに召集された兵は100名、うち90名を越える方が亡くなったという。 新藤さんは、幸運にも生き残った。そして一つのシナリオが生まれた。

シナリオには、忘れてはならない戦争の真実がある。不条理な軍隊のなかで、 生き抜く庶民がいる。おかしくて、哀しくて、厳しい、戦争の映画にしてみたいと思う。


陸に上った軍艦:キャスト

蟹江一平(新藤)

蟹江一平(新藤)

1976年東京都生まれ。1998年、劇団青年座に入団。「その河をこえて、五月」(02、05)、「現代能楽集Aoi/Komachi」(03)、「評決」(06)といった舞台をはじめTVや映画で活躍中。

新藤兼人監督作「ふくろう」(03)に続く本作では若き日の新藤兼人をりりしく演じている。最新の出演作は、2007年4月より始まったNHK朝の連続ドラマ小説「どんど晴れ」の板前役。

滝藤賢一(森川)

滝藤賢一(森川)

1976年愛知県生まれ。1998年無名塾入塾。「いのちぼうにふろう物語」(04)、「無頼の女房」(06)、「ジョブ・アンド・ベイビー」(07)等舞台を中心に活躍。

本作では妻を心から愛する森川を清々しく演じて忘れがたい印象を残している。

大地泰仁(植村)

大地泰仁(植村)

1982年北海道生まれ。1997年「いちご同盟」の主演で映画デビューを飾る。以後「SWEET SWEET GHOST」(00)の主演をはじめTV、ラジオ、CF等で多彩な活動を続ける。

新藤兼人監督作「ふくろう」(03)での演技が認められ、本作で重要なエピソードを担う植村役に抜擢された。

加藤忍(森川の妻 ハナ)

加藤忍(森川の妻 ハナ)

1973年神奈川県生まれ。舞台「コミック・ポテンシャル」(04、07再演)、「バッファローの月」(04)で第39回紀伊國屋演劇賞個人賞受賞。最新上演作品は「ブルーストッキングの女たち」(07)。

現在NHK BSで放映中のユン・ソクホ監督による韓国の人気ドラマ「春のワルツ」でヒロイン、ウニョン役の吹替えを担当。本作では出征した夫、森川の若妻を体当たりで演じている。

二木てるみ(八重)

二木てるみ(八重)

1949年東京都生まれ。映画「警察日記」(55)で銀幕デビューを飾る。子役ながら確かな演技力で一躍人気者に。黒澤明監督作「赤ひげ」(65)、NHK大河ドラマ「義経」等名バイプレーヤーとしてTV、映画で息の長い活動を続けている。

本作では、出番は少ないものの印象に残るたたずまいで、再現ドラマのリアリティーに奥行きを与えている。

大竹しのぶ(語り)

1957年生まれ。浦山桐郎監督「青春の門」(75)で鮮烈デビュー。同年、NHK朝の連続テレビ小説「水色の時」にも主演。若くして実力派女優としての地位を確立する。

繊細で感受性豊かな表現者として舞台・映画・TVで幅広い活躍を現在まで続けている。

新藤兼人監督作では「生きたい」(99)「ふくろう」(03)で主演を務め、後者ではモスクワ国際映画祭最優秀女優賞を受賞している。

山倉/三浦 影虎   皆川/鈴木 雄一郎   佐久間/友松 タケホ   川津/藤田 正則   谷川/川上 英四郎   町田/大塚 祐也   国崎/桜木 信介   川本甲板士官/井川 哲也   塚本班長/新田 亮   吉田副班長/若松 力   司令/壇 臣幸   士官(斬り込み作戦の将校)/池内 万作   若い兵長/ユウキロック   山川/宮沢 天   鶴田/浅田 圭一   野沢/森内 遼   岸田/中田 潤   若い二水/植村 宏司   スタンド裏の兵/塚本 浩平   伝令/西川 方啓   白川少尉/岸本 啓孝   別班の兵/宮澤 寿   別班の兵/日之出 清   別班の兵/木戸口 義隆   別班の兵/若山 慎   別班の兵/佐治 和也   別班の兵/太田 鷹史   鳴門事件証言者/加藤 新平   鳴門事件証言者/青木 荘一郎   ウメ/今井 和子   山倉の妻/森脇 由紀   その娘/八木 優希   皆川の妻/氏家 恵   赤ん坊/伊藤 檜   佐久間の妻/柳下 季里   川津の妻/黒崎 照


陸に上った軍艦:スタッフ

製作:平形則安

1955年群馬県生まれ。日本大学芸術学部在学中からフリーで映画の製作・上映に関わる。

1978年、近代映画協会入社。プロデューサーとして新藤兼人監督作品、「NHKスペシャル」「ドキュメンタリー人間劇場」など映画・テレビ番組・ビデオ作品ほか、幅広いジャンルで映像製作に携わる。

1999年、(有)ピクネット(現ピクチャーズネットワーク梶j設立。映画のプロデュース作品は「生きたい」「ゼノかぎりなき愛に」「三文役者」等。

撮影(ドラマ・パート):林雅彦

1958年大阪府生まれ。大阪工業大学中退後、1980年横浜放送映画専門学院(現日本映画学校)に入学。

卒業後、東映大泉撮影所に撮影助手として入所しTVプロに所属。フリーの撮影助手として「大誘拐」「八月の狂詩曲」などに参加。

1998年から新藤兼人作品のBキャメラ撮影担当として「生きたい」「三文役者」「ふくろう」に携わる。

撮影(ドキュメンタリー・パート):海老根務

1949年東京都生まれ。1969年東京写真専門学校卒業後、フリーの映画撮影助手として活動。

1975年よりカメラマンとなり、東京12チャンネル(現テレビ東京)の番組を中心に数多くのテレビ・ドキュメンタリーに撮影として参加。

1985年、潟tリー映像プロダクション設立に参加。2004年以後フリーのカメラマンとして活動。

音楽/沢渡 一樹   編集/渡辺 行夫   照明(ドキュメンタリー部分)/山下 博   照明(ドラマ部分)/奥村 誠   録音/尾崎 聡   助監督/中島 雄一   製作担当/星野 友紀   海軍所作指導/太宰 信明(元第14期海軍甲種飛行予科練習生)   演出助手/近藤 信子   中野 量太   丸中 耐   撮影助手/高橋 正信 照明助手/関澤 陽介  上田 章三浦  大輔矢澤美恵子   録音助手/小清水 建治  佐藤 祐美   装飾/高橋 光  池田 亮平   小道具/星崎 奈美   衣裳/天野 多恵   メイク/新井 みどり   スチール/広瀬 順子   製作進行/武藤 貴紀  尾山 昌孝  村山 淳  渡邉 大樹  市倉 元貴   音響効果/佐々木 英世  朝倉 三紀子   スタジオエンジニア/清宮 秀敏   MAスタジオ担当/小島 透   テクニカルコーディネート/山下 哲司   カラリスト/高田 淳   タイミング/小椋 俊一   リアルタイムレコーディング/渥美 大輔  竹内 望   リニア編集/増永 純一  尾崎 純子   編集協力/中嶋 裕   アシスタントプロデューサー/瀬戸 俊介   配給プロデューサー/川嶋 博   配給/パンドラ  シネマ・ディスト   宣伝/マジックアワー   製作宣伝 製作経理/米田 典子